~日本商工会議所の調査より
日本商工会議所は4月30日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」の4月調査結果を発表しました。全国の会員企業2,472社を対象に調査したもので、2024年4月12日~18日に実施し、2,033社から回答を得ています。今月の付帯調査「コスト増加分の価格転嫁の動向」によると、持続的な賃上げに向けて課題となっている労務費の増加分の転嫁は、まったくできていない企業が25.6%に上っています。
原材料費やエネルギー費を含めたコスト全体の価格転嫁については、50.9%の中小企業が上昇分の4割以上を転嫁できていますが、2023年10月の前回調査より4.4ポイント低下しています。2023年11月には公正取引委員会が、中小企業の賃上げ分の価格転嫁を促す指針を公表しましたが、転嫁が十分に行われていない状況です。
◆価格協議が実施できた企業は7割超、4割以上の価格転嫁ができた企業も5割超
発注側企業との「価格協議の動向」については、「協議を申し込み、話し合いに応じてもらえた」66.0%、「コスト上昇分の反映の協議を申し込まれた」7.7%で、合計すると「協議できている」企業は73.7%と、2023年10月調査から0.7ポイント減少しているものの、7割超と高水準であり、価格協議は浸透しているといえます。
一方、コスト増加分の「価格転嫁の動向」については、50.9%の企業が「4割以上の価格転嫁」が実施できていますが、2023年10月調査から4.4ポイント減少しています。
◆労務費増加分では、価格転嫁がまったくできていない企業が25.6%
コスト増加分のうち労務費増加分の「価格転嫁の動向」については、「4割以上の価格転嫁」が実施できた企業は33.9%で、2023年10月調査から0.8ポイント減少とほぼ横ばいとなっています。
また、まったく価格転嫁できていない企業は25.6%あり、価格転嫁の進捗は足踏みしている実態が懸念されます。
【日本商工会議所「商工会議所LOBO(早期景気観測)2024年調査結果」】
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2024/04/LOBO202404.pdf