「令和4年度 使用者による障害者虐待の状況等」が公表されました

厚労省は、障害者虐待防止法28条に基づき、使用者による障害者虐待の状況や使用者による障害者虐待があった場合にとった措置等の事項を毎年公表しています。都道府県労働局(労働局)が把握した使用者による令和4年度の障害者虐待の状況等が公表されましたので、その傾向と特徴を紹介します。

◆通報・届出と労働局の対応結果

(【 】内の数字は、労働局により虐待が認められた件数)

① 通報・届出のあった事業所件数(把握の端緒別)

 全体1,230件【430件】

(都道府県からの報告208件【36件】、労働局などへの相談838件【214件】、労働局などの発見184件【180件】)

② 通報・届出の対象となった障害者数(障害種別・虐待種別)

 全体1,433人【656人】

(障害種別では、精神障害510人【224人】、知的障害422人【245人】、身体障害326人【155人】、発達障害127人【36人】、その他40人【8人】。虐待種別では、経済的虐待796人【600人】、心理的虐待613人【47人】、身体的虐待146人【24人】、放置等による虐待79人【8人】、性的虐待24人【8人】*重複計上あり

◆使用者による障害者虐待が行われた場合などの対応

① 都道府県に通報・届出が寄せられた場合

都道府県は労働局へ報告を行います。

② 市町村に通報・届出が寄せられた場合

市町村は都道府県に通知を行い、都道府県から労働局に報告がなされます。報告を受けた労働局は、労働基準法、障害者雇用促進法、男女雇用機会均等法など所管する法令に基づき、所轄の労働局、労基署または職安の職員が事業所に出向くなどして、調査や必要な指導を行います。

③ 労働局に直接、通報・届出が寄せられた場合

労働局(労基署、職安含む)に直接、使用者による障害者虐待の通報・届出が寄せられた場合、労働局は都道府県に情報提供する一方、都道府県からの報告があった場合と同様に調査や必要な指導を行います。

 令和4年度の調査では、通報・届出件数は前年度比で横ばいだったものの、実際に虐待が認められた事業所、障害者数はともに増加しています。5~29人規模の事業所での虐待が多く、全体の約半数を占めています。また、虐待種別で圧倒的に多い経済的虐待(87.3%)については、事業主の知識・認識不足によるところもあり得るので、最低賃金は毎年チェックし、その他関連する改正法も把握しておくようにしましょう。

【厚生労働省「令和4年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します】

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001141991.pdf