働き方改革推進支援助成金は、生産性の向上により、労働時間の短縮や有給休暇の取得促進がなされるような職場環境の整備を行うために必要な経費の一部を助成するものです。
厚生労働省が所管するこの助成金について財務省による調査が行われ、見直しが必要だと指摘されています。
◆財務省による指摘
この助成金の申請にあたり、企業は次のいずれかの成果目標を選択します。
① 時間外労働の短縮
② 所定休日の増加
③ 特別休暇の「整備」
④ 時間単位の年次休暇の「整備」
しかし、財務省の指摘では、事業者が選択した成果目標の9割超が③または④となっており、①に至ってはほとんど選択されておらず、利用内容の偏りが問題だとされています。
また、助成金を受給した事業者で、③および④については、休暇制度を「導入」したのみで、実際には休暇が利用されていないケースがあり(それぞれ約5割、2割)問題だと指摘されています。
さらに、この助成金の申請にあたっては、労働者と話し合いを行った上で、事業計画に労働者側の意見を付記することとされていますが、この話し合いが実際は行われていないケースがあることも問題だとされています。
◆見直しの方向
これらのことから、今後、
・休暇制度の利用状況の確認(実際に利用されているかのチェック)
・現在作成・保管が求められている、労働者側との話し合い過程の議事録等を助成金の支給審査過程でチェック
といった受給要件の見直しが行われるのではないかと思われます。
一方、利用が低調な部分については、利用が促進されるような見直しが行われるかもしれません。この助成金の利用を検討する場合は、見直しの動向に注意しておきましょう。
【財務省「予算執行調査資料 総括調査票(令和4年7月公表分)」】
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2022/sy0407/0407d.html