厚生労働省から「令和6年版 労働経済の分析」が公表されました。
今回の白書では、「人手不足への対応」をテーマとして分析が行われました。第Ⅰ部では、2023年の雇用情勢や賃金、経済等の動きをまとめています。また、第Ⅱ部では、我が国の人手不足の動向やその背景を分析し、人手不足への対応に向けた方向性等を示しています。
白書の主なポイントは次のとおりです。
◆2023年の労働経済の推移と特徴
・我が国の雇用情勢は、求人が底堅く推移する中で、改善の動きがみられた。正規雇用労働者は女性を中心に9年連続で増加。 人手不足感は、新型コロナウイルス感染症の拡大前よりも強まった。
・現金給与総額は3年連続で増加。民間主要企業の賃上げ率は3.60%、2年連続で前年を上回る。物価上昇により実質賃金は減少。
◆2010年代以降の人手不足の現状
・産業・職業別に労働力の不足度合い(労働力需給ギャップ)をみると、2017年以降、総じて労働力供給が労働力需要を下回り、 2023年には、人手不足が相当に広い範囲の産業・職業で生じている。
・労働移動について、中小企業から大企業への移動は増加傾向。我が国では、欠員率に対する賃金上昇率の感応度が高く、人手 不足は賃金を引き上げる効果がある可能性。
◆人手不足への対応
・介護分野、小売・サービス分野においては、人手不足緩和に向け、離職率を低下させることが重要。人手不足緩和に効果的な取組みを分析すると、総じて、賃金や労働時間だけではなく、職員の負担を軽減するような機器の導入、相談体制や研修、給与制 度の整備等、労働環境・労働条件の改善が重要。
〇介護分野:介護事業所の標準的な水準以上の賃金の確保、相談支援の整備、定期的な賞与の支給、ICT機器等の導入等
〇小売・サービス分野:少なくとも月20万円以上の月額賃金の確保、研修や労働環境の整備、給与制度等の労働条件の整備等
【厚生労働省「「令和6年版 労働経済の分析」を公表します」】