特定受託事業者(フリーランス)に係る取引の適正化等に関する法律(以下、「本法」といいます)の施行に向けて、政令または公正取引委員会規則で定めるとされている事項について、公正取引委員会は、各業種における取引実態を踏まえ、特定受託事業者に係る取引の適正化に関する検討会がとりまとめた報告書を公表しました。
◆業務委託をした場合に明示しなければならない事項(本法3条1項)
本法3条1項では、業務委託事業者が特定受託事業者に業務委託をした場合、公正取引委員会規則に定める事項を明示しなければならないとされています。この公正取引委員会規則に定める事項について、下請法や業法・業界の慣行とそろえるべきとの意見により、下記の事項とすることが適当と示されました。
- 業務委託事業者および特定受託事業者の商号、名称等
- 業務委託をした日
- 特定受託事業者の給付・役務を受領する期日
- 特定受託事業者の給付を受領する場所
- 給付・役務の内容を検査する場合は、検査完了期日
- 報酬をデジタル払い(報酬の資金移動業者の口座への支払い)する場合に必要な事項
◆規定の対象となる業務委託の期間(本法5条1項柱書)
本法第5条では、特定業務委託事業者が特定受託事業者に対し、業務委託をした場合にしてはならない行為を定めています。この規定の対象となる業務委託は、政令で定める期間以上の期間行うもの(契約の更新により、期間以上継続して行うこととなるものを含みます)に限定されており、この具体的な期間は「1か月」とすることが適当と示されました。
報告書では、上記2点のほか、任意事項とされる電磁的方法による明示の認否や、再委託する場合の取扱いについても方針が示されています。フリーランスとの取引がある場合は、新法の施行までに準備を進めていきましょう。
【公正取引委員会「『特定受託事業者に係る取引の適正化に関する検討会』報告書について」】
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/jan/240119_1_fl_report.html